2006/6/23 金曜日

私の愛するフィリッポ・インザーギがW杯初ゴールを決めました。


イタリアが1点先制し、さらに退場により1人多い状態の後半。ボールはチェコが支配しているものの、それは正に持たされているという言葉がふさわしい流れで、完全にイタリアの術中に嵌った展開の中、彼は登場します。仮に点を取られたとしても決勝トーナメント進出は揺るがないため、あまり積極的には責めないイタリア。しかし、何時如何なる時も点を取ることしか考えていない彼は、必死の形相で俺にボールをよこせとアピールします。空気を読まないとはこういう人のことを言うのでしょう。C.ロナウドあたりがやるのならわかりますが、今年33才になる彼がやるのは異様ですらあります。もちろんそんなことは気にせず、執拗にボールを追いかけ、パスを要求しつづける彼。とても迷惑そうなツェフ。ちょっと迷惑そうなトッティ。

チャンスはやってきます。珍しく自分でペナルティエリアへ切り込んでいくピルロ。僚友ピルロ、分かってます。ディフェンダーを十分に引きつけておいてパス、完璧すぎるお膳立て。ところが彼のヘディングはゴール右へと外れていきます。胸をなでおろすチェコサポーター。天を仰ぐ彼。ちょっと気まずい。しかし、闘志衰えぬ彼に、その時はやってきます。味方がボールを奪った瞬間、センターサークル近くに横たわるオフサイドラインのど真ん中、愚直に飛び込んでいく彼、放たれるスルーパス。オフサイドは無く、一直線にゴールへと駆け抜けます。立ちはだかるのはツェフ。右後方にはバローネも追いかけてきていますが、この状況下の彼にパスという選択肢は、柳沢がゴール前でシュートする可能性ぐらいに存在しません。あまりキレがあるとは言えないフェイントでかわし、そのままパスをするかのようにゴールへと流し込む。コーナーフラッグへと駆け寄り、雄叫びを上げる彼。それはとりたててテクニカルでもダイナミックでもない、戦術的にもさほど意味のない、普通のゴール。彼が欲しかっただけの、唯の1点です。しかし、彼は鬼の首でもとったかの如くに、喜びを爆発させます。俺の得点をもっと褒め称えろと叫びます。

図らずもその得点の形は、彼が最も得意とするスタイルでした。
彼のサッカー人生そのものを体現する形。
彼の今までの多くの名声と、これからの少しの名声を支えていくであろう形。
その時、意外なことに、本当に意外なことに、不意に私の目に涙が滲みました。
彼とあまり年齢の変わらない私としては、実に稀有な事でした。
だから私も雄叫んでみたのでした、とても当たり前のように――\r

……彼のW杯における出番はこれで最後のような気がしたので、5割増しでお送りしておりまする。
というかもう1回ぐらい出てくれると嬉しいんだけどなあ。

Filed under: サッカー 8:51:07

HTML convert time: 0.220 sec. Powered by WordPress ME